写本のルーン文字・ルーン詩


アングロサクソンルーン詩

 このアングロサクソンルーン詩は1731年に焼失したCottonian MS. Otho B xからのものである。そしてこの詩はHickesのLinguarum Veterum Septentrionalium Thesaurus I..135(ロンドン、1705年)で現存する。これは各詩の頭にルーンが置かれ、その次にその名称、各2〜各5行からなる全部で29の短い詩句からなっている。
 ノルウェイルーン詩のようにOtho B xにおいて、ルーン文字はそれだけで表記されており、名称は恐らく違う色々な古写本から付け加えられていると思われている。
 こうした写本を編集する際には様々な写本が利用されたのだが、それらの古写本は言語学上から11世紀以前のものはほとんどないとされている。アングロサクソンルーン詩の原型はより古いものでアルフレッド大王の時代(849〜899年)以前であろうとされている。

アングロサクソンルーン詩

ノルウェイルーン詩

 Olaus WormiusのDanica Literatura Antiquissima(Amsterodamiae, 1636年)でノルウェイルーン詩が最初にルーン文字で出版された。詩はコペンハーゲンの総合大学図書館の1冊の写本に由来しており、写本は1728年に消失したのであった。この版は、VigfússonとPewell共著のIcelandic Prose Reader(オックスフォード、1879年)とCorpus Poeticum Boreale(オックスフォード、1883年))で使われている。
 また写本は17世紀後期にArni MagnússonとJón Eggertsonに複写された。彼らの写本はWormのものよりはるかに正確で、コペンハーゲンとストックホルムに現存する。
 Kålundがこれに基づいてSmåstykker(コペンハーゲン、1884〜91年)を記した。これはSophus BuggeとB.M.Ólsenによる提唱と合体している。Kålundはルーン文字の名称を付け加えているのだが、元々の正書法でテキストを出版している。この編集では、Wimmerの著 Die Runenscarift(ベルリン、1887年)のドイツ語訳で用いられた標準化した古期ノルウェイ語のつづりをよりいいかたちで借用している。
 アングロサクソンルーン詩と類似が見られるこの詩は13世紀末にノルウェイ人によって記されたものであろう。この詩は15節以外は脚韻がなされ、一部頭韻もなされている。6音節の2組で1つの詩句となり、格言風の出来栄えである。

ノルウェイルーン詩

アイスランドルーン詩

 15世紀以後のものであろうとされるアイスランドルーン詩は恐らく、ノルウェイの原型より苦心して作り上げられたと思われる。16節からなり、スカンジナビア・ルーン文字の文字名称が使われている。それぞれの詩句は3つのケニングから成り立っている。1行目と2行目は頭韻しており、3行目はその行の中だけで頭韻をしている。
 アイスランド・ルーン文字はこの時代、何個かこれ以上のもので構成されていた。しかしヴァイキング時代のものである16文字でこの詩は作られているのである。これはおそらく、この詩がより古い時代から由来するものを示唆するものであろうと思われている。この詩は前述のコペンハーゲンのArnamagnaean Libraryのものである。

アイスランドルーン詩


特記事項

注・テキストには日本語訳をつけていますが、これはあくまでもこんな内容ですという程度です。韻を踏むことも忠実に再現していなければ、いい訳というわけではありません。原テキストを楽しんでくださいませ。
 (今回は前回に使用した現代英語訳をサブ的に使用し、違う現代英語訳を主に用いました。2つの訳を参考にしながらごっちゃにしています。センセによって若干訳が違ったりします。意訳するかしないかの違いですが・・・。
(03/04/29)


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