Fresta Kyrka
- U260 -

Transliteration :
× kismuntr × auk × uikinkr × litu . . .
ta . . . iR sikuast × faþur × sin ×

Transcription :
Gismundr ok VikingR letu . . . [s]tœ[in] œft]iR Sigvast, Faður sinn.



ギースムンドルとヴァイキングルは[石碑を]シグヴァスト、彼の父、[を偲んで立て]させた。

古北欧語の男性名詞víkingrは人物を指し、抽象女性名詞víkingrは行為を示す。さらに石碑では人物名としても現れ、この石碑がそうである。こういった石碑は19個にもなる。一方、一般的な名称のヴァイキングを指す碑文は3つだけである。


ヴァイキングの語源で一般的な書物(専門書でない)に好まれているのはvík「入り江」の人というものである。実際、この語源で決定的な説はなく、恐らく北欧語から由来しているのだろうとされている。古代スカンジナビア人が他国の年代記等に登場する時、ほとんどこの語は使用されておらず、フランク王国年代記(ラテン語)では「normanniノールマンニ(ノルウェイ人)」であり、アングロサクソン年代記(古英語)では「ダニ(デンマーク人)」である。アダムのハンブルグ記(Gesta Hammaburgensis ecclesiae pontificum)というドイツの年代記ででは「ascomanniアスコマンニ」”トネリコの人”の意味でトネリコの木で作られた船にちなむ語が残されている。アイルランドの年代記(ラテン語)では「Galluガル」、「lochlannachロッホランナッホ」という。「異国人」あるいは「北方人」を意味する。「ロッホランナッホ」は「白いロッホランナッホ(ノルウェイ人)」と「黒いロッホランナッホ(デンマーク人)」に分けられて表現されている。またアルスター年代記では「genntib異教徒」、「Norddmannaib北欧人」として登場する。
ブレーメンのアダムはデーン人が「ヴァイキング」という語を使用していると述べている。
北欧語起源であればvíg「戦い」 、vík「入り江」などが考えられ、後者を支持するものが多い。すなわちヴァイキングとは、通過する交易船を港やフィヨルドや入り江で待ち伏せする海賊を指す、というのである。これに対してアングロサクソン語由来説では「ウィク(野営地)」、ラテン語由来説では「ウィクス(都市)」が挙げられる。(ヴァイキング・ヨハネス・ブレンステッズ・1988・人文書院・43-48を参考に一部加筆)
一方、「ヴィーキング(ヴァイキング)」とは「入り江」の人ではなく、商業地「ヴィクス(ラテン語)」を転々としながら活動する、商人をのものを示しているとフランスのレジス・ポワイエはきっぱりと言い切っています。(ヴァイキングの暮らしと文化・レジス・ポワイエ・2001・28)。


この2冊の本での説の違いには「ヴィキングは海賊が一般的時代」と「ヴィキングを見直そう。ヨーロッパを作った彼らをブーム」の時代的な背景もあります。どっちにしても結論はついていない事なので「〜らしい」というのが現状だと思います。

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