Fagrskinna
ファグルスキンナ


古アイスランド語で記されたノルウェイ王朝史のサガがあり、よく耳にするのがスノッリ・ストゥッルソン著であるヘイムスクリングラ(1220年代〜1230年代)で、その他にファグルスキンナ(美しい羊皮紙)、と1220年代ごろのモルキンスキンナ(腐った羊皮紙)がある。ファグルスキンナには多くのスカールド詩が残されており、その数は271個にものぼる。ファグルスキンナはヘイムスクリングラより若干時代が古く、多くの類似点がありスノッリはファグルスキンナを用いたと思われている。

エイリーク血斧王の歌

ファグルスキンナの8章にエイリーク血斧王の死についての話が語られ、エイリークの歌(Eiríksmál)が妻グンヒルドによって作詩されたと書かれ、この詩が続く。これはヨーク最後のヴァイキング王のエイリーク血斧王の死後に954年以後に作詩されたものである。この歌はまたスノッリのエッダの詩語法でこの歌の名前が言及されており、最初の10行のみ残されている。

ファグルスキンナのエイリーク血斧王の歌
1.
"Hvat es þat drauma," kvað Óðinn,
es ek hugðumk fyr dag lítlu
Valhöll ryðja
fyr vegnu folki,
vakða ek einherja,
bað ek upp rísa,
bekki at stráa,
borðker at leyðra,
valkyrjur vín bera,
sem vísi kœmi;

2.
es mér ór heimi
haulda vánir
göf<u>gra nökkurra,
svá es mér glatt hjarta."

3.
"Hvat þrymr þar," <kvað> Bragi,
"sem þúsund bifisk
eða mengi til mikit?
Braka öll bekkþili
sem muni Baldr koma
eptir í Óðins sali."

4.
"Heimsku mæla," kvað Óðinn,
"skal<a>t þú; enn horski Bragi,
þó at þú vel hvat vitir :
fyr Eiríki glymr,
es hér mun inn koma
jöfurr í Óðins sali.

5.
Sigmundr ok Sinfjötli,
rísið snarliga
ok gangið í göng grami,
inn þú bjóð,
ef Eiríkr sé,
hans es mér nú vón vituð."

6.
"Hví es þér Eiríks vón," kvað Sigmundr,
"heldr en annarra konunga?"
"Því at mörgu landi," sagði Óðinn,
"hann hefr mæki roðit
ok blóðugt sverð borit."

7.
"Hví namt þú hann sigri þá,
es þér þótti hann snjallr vesa?"
"Því at óvíst es at vita," sagði Óðinn,
"sér úlfr enn hösvi
<greypr> á sjöt goða."

8.
"Heill þú nú, Eiríkr," kvað Sigmundr,
"vel skalt þú hér kominn
ok gakk í höll horskr,
hins vil ek þik fregna,
hvat fylgir þér
jöfra frá eggþrimu."

9.
"Konungar eru fimm," sagði Eiríkr,
kenni ek þér nafn allra,
en em enn sétti sjalfr."
1
「どのような夢か?」オージンが言った、
まさに夜明け前に
私が思うたのはヴァルホッルを片付けること
殺害された者達の到来のために
私はエインヘリヤルを起こし、
ヴァルキュリヤらに立ち上がるように命じた、
ベンチにわらを撒き散らし
大杯を探し回らせるために。
ワインをもたせ
王の到来のために;

2.
私は期待する
この世からの英雄らの到来を、
ある偉大な者ら、
多いに喜ばしきは我が心。」

3.
「なにやら雷鳴が」ブラギが言った、
「まるで千もの動乱のような、
もしくはあまりに強き群集か?
全てのベンチがきしむ
まるでバルドルがオージンの館に
舞い戻ったかのように。」

4.
「愚行の言葉」オージンが言った、
「言うなかれ、賢きブラギ、
貴殿が真実を熟知するとき:
それはエイリーク(血斧王)のために鳴り響く、
誰がここに到来するか、
その王、オージンの館にと。

5.
「シグムンドとシンフェトリ、
素早く立ち上がり、
そしてその支配者に挨拶に行く;
彼を招きいれる
もしエイリークであれば、
私が見たいと期待する者が。」

6.
なぜ貴殿はエイリークを期待する」シグムンドが言った、
「他の王ら以上にか?」
「なぜなら多くの地を」オージンが言った、
「彼の剣で彼は赤く染めた、
そして血まみれの刃を運んだ。」

7.
「なぜ彼の勝利を持ち去る、
勇敢なる貴殿が彼を思うてからか?」
「未来は計り知れぬ故」とオージンは言った、
古狼が恐ろしく探すのは
神々の住まい。」

8.
「エイリーク、万歳」とシグムンドが言った、
「貴殿は迎えられよう;
勇敢なる英雄、館に入だろう。
私はこれを貴殿に訊ねる:
どんな首領らが貴殿と
戦場の刃の衝突からやってくるのか?」

9.
「彼らは5名の王らだ」とエイリークが行った;
「私は全員の名を語ろう;
私自身が6番目だ。」
詩語法のエイリーク血斧王の歌
Svá er sagt í Eiríksmálum :

Hvat er þat drauma, kvað Óðinn,
ek hugðumk fyrir dag rísa,
Valhöll ryðja
fyrir vegnu fólki,
vekða ek Einherja,
bæða ek upp rísa,
bekki at strá,
bjórker leyðra,
valkyrjur vín bera,
sem vísi kæmi.
エイリークの歌ではこう言われている:

「どのような夢か?」オージンが言った、
まさに夜明け前に
私が思うたのはヴァルホッルを片付けること
殺害された者達の到来のために
私はエインヘリヤルを起こし、
ヴァルキュリヤらに立ち上がるように命じた、
ベンチにわらを撒き散らし
大杯を探し回らせるために。
(06/04/11)
注:いつもながらですが、古アイスランド語のテキストも見てはいますが、いくつかの現代英語訳から訳をおこしています。あくまでもこんな内容ですという程度です。

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