なんちゃって北欧文学マスターの作り方


人間、要はかましです。かましをかんかん〜と入れて、「あ、この人、北欧文学にかなり詳しいんだわ」と尊敬の眼で見られたいあなた。必読です。あ、でも北欧専門家にはばればれなんで、万が一、北欧文学の学者さんと話す機会があれば、かましは入れないで下さい。キケンです。抑えるところだけ抑えてかましをいれて、相手に一目を置かせる。営業、取引、交渉の基本ですね!

注・参考にしたものは大学書林・アイスランド語文法・森田貞雄著、研究社・新英語学辞典(これ以外の辞書)、他、An Introduction to Old Norse/E.V.Gordon/OXFORD、古期アイスランド文法書、古期アイスランド語辞典等ちょろっと参考。

 古代・中世の北欧文学を読んでいてて、学者先生や訳者方々のカタカナ表記の名称にかなりの差異があることに今までいらいらしていた方も多いハズ。でしょ、でしょ?これはやはり原典からの出典か、はたまた現代アイスランド語からの出典か、もしくは現代デンマーク語から、現代スウェーデン語、現代ノルウェイ語、もっともっと遠いものになると、英語で字訳されたものをカタカナになおすという作業で起こってくるものです。
 私は学生の頃に、言語学の先生に「カタカナになった瞬間にそれは日本語になる。どれだけ正確に音に従ってもカタカナにしてしまえば、日本語である」という信仰を受け、未だに信仰しているために、私はつづりに重点を置くタイプです。例えば、長音でつづりが記されていても、聞く人によっては単音に聞こえたり、単語によっては単音に聞こえたりとあいまいなんで、それじゃぁ、単語に従えばまぁ、それよりは見た人には親切かな、と勝手に解釈しているからです。
 日本にはカタカナというスバラシイ表音文字があったから、いけない。これがないと原語通りに示されていたはずである。特に日本の学者先生の感性にこれは非常に因るものとなり、音を非常に大切にする方、つづりを大切にする方でかなり異なってきます。概して音を大切にする方のカタカナ表記は見づらいものです。で、1冊読み終わる頃にはその転写者の方のクセが判り、この人のこのカタカナ表記はこのつづりだな、と判るようになります。古期アイスランド語→英語のものは字訳は割に判りやすい。例をあげると、

です。一番下のoにぽろっとフックがついたものはöのフォントが使用できる場合、それで代用されています。なので古期アイスランド語の正書法でöがないので、これが使われているときは上記の文字かøかのどちらかだと認識してもぁ、多分だいじょうぶでしょう・・・。で、他のサイトさんの例で申し訳ないがだいたいðをZで字訳しているんですが(まぁ、ズの発音だから使っているのか・・・)ちょっと北欧文学&英語に詳しい方が見ると5カッチョワルなので特殊文字ðを使って欲しいなっと・・・。ZはRに置いておいてね〜(参・ルーン文字のコーナー)。ちなみにðの読みはエズです。くれぐれもエスとは発音しないように。69カッチョワルです。英語の歴史を知らないのがばればれです。ちなみに歴史は以下のようなものということです。

英語のアルファベットの歴史
 アングロサクソン時代に用いられたアルファベットは、ルーン文字とラテン文字である。ラテンアルファベットは7世紀にアイルランド修道士によって伝えられ、ルーン文字にとって代わった。アングロサクソン人がラテンアルファベットに加えた文字はラテン文字にない音を表すþ(thorn・ソーン)、ð(eth・エズedhともつづる)、(wynn)、æ(æsh)である。これにより、古期英語のアルファベットは以下のものである。

a æ b c d e f g h i k l m n o p r s t þ ð u x y z
(ノルマンコンケスト前)

þとはルーン文字からの借用で、ðは半アンシャル体dの変形である。þとðは区別なく[][ð]を表すようになり、は[w]を表す。

しかしこれがノルマンコンケスト後、初期は古期英語のアルファベットが用いられたが、文字の音価の変化、新しい文字の導入により、中期英語の頃にはアルファベットは以下のようになる。

a b c d e f g () h i k l m n o p q r s t (þ) u v w x y z

þとðは初期の古期英語のテキストではthとつづられていた。1400年ごろ、thは再びþに変わり、中世末までそれは続いた。14世紀初期の写本ではþとyと区別できなくなった。
(参考・研究社・新英語学辞典)

で、話を戻すと、古期アイスランド語から英語に転写されたものを見ていると、慣れてくると「あ、これはdだけどホントはðなんだな。とか本当は長音なんだな。と大概、判ってきます。がんばりましょう!そうすればあなたは150カッチョイ上がります。


次は古期アイスランド語の正書法と発音について


まずは以下のテキストを見比べてください。



正書法ってなに?って?それはお願いだから調べてください。写本のテキストを見ると、下の一般的に用いられている原典といっているものと少し、差異があることが感じられるでしょう。写本が作られた頃ってのは当然のことながら正書法の決まりはないためにこうゆう事が起こっています。

写本の転写の問題
昔の音を復元するのは不可能であり、不明な点も少なくない。最終的なそのよりどころは写本になるのだが、アイスランド語の場合はこの写本解読の問題も必ずしもやさしくない。それは当時は紙はまだなく、変わりに用いた仔牛の皮が高価で、一枚の中にできるだけ文字をつめこんだため、省略がされた。そしてラテン文字にはない音を表すために例えば[ö]を表すため時にはauと書いたこともあり、[au]もauと書いたので、ただ、auという文字を見る限りではどちらか決定しかねる場合もある。

この当時書かれたアイスランド語の歴史は、1200年ごろにはðの文字は現れず、語頭、語中、語尾のいずれにもþが用いられた。fの文字は現在のイタリック体のようであった。áのu-母音変異によるóがあった。など等。(詳しいことはアイスランド語文法にありますので、購入して読んでください)。これらの特徴は13世紀に入って次第に崩れてゆく。

AM242fol(Codex Wormianus。スノリのエッダ)は当時のアイスランド人にローマ字を用いていかにアイスランド語を転写すべきかを教えた。そしてそのために英語を手本とすべきだとして英語からの長音を示す’、y,,ø,þなどの文字を輸入した(これは完全に一致した説ではない)。しかしこの教本の趣旨は後世の写本筆者によってほとんど尊守されることがなかった。
(参考・大学書林・アイスランド語文法・森田貞雄著)

などの問題がかなりあり、写本によって用いられる文字、つづりが異なっていたことがうかがえるが、それも後世研究者によって転写されて、今は下のエッダの画像のように見やすい文章にされており、本当にありがたい限りです。


で、テキスト化された古期アイスランド語の正書法に話を移しましょう〜。現在の学術的な本へのテキストへの写本の転写には以下のものが使われている。

yはイ。æはエ。æは深いエ。はoとaの中間音で円唇で発音されたが、不安定で1200年ごろにはöの音となり、の長音であったが、13世紀にはáと混同された。øは円唇のエ、œは仏語creuseのeuのようにその長音。øはやがて13世紀頃と混同され、その多くはやがてöに統一され、今日に至る。13世紀半ばにœ はæと混同され、1600年ごろに二重母音化し[ai]となった。二重母音auは[au]のように、eyははじめは[öy]のように発音されたらしいが、yがiと同じとなったため[ö]も[e]となり、1200年ごろには[ei]となっていたようである。
(参考・大学書林・アイスランド語文法・森田貞雄著)

なんや判ったようなわからんような・・・。詳細はアイスランド語文法で勉強してくださいませ。さすれば850カッチョイです。


母音、子音について


母音の発音は以下です。

さて問題は子音。子音は実にややこしいです。要点だけを抑えれば、25カッチョイです。

1)母音が後に続く重子音は二重に発音される。
最近の北欧文学の本を読んでいると昔はスノリと表記されていたのが、スノッリとなっていることにお気づきでしょうか?あ、気がついていた?そんなあなたは50カッチョイです。スノリのつづりはSnorriです。だのでスノッリとつづりに注目を置く方は字訳しています。間違ってもスノーリとムーミンのツレのような読みはしてはいけません。それは60カッチョワルです。

2)d,t,n,lは舌の先を歯に向けて発音する。無声音l、nは語頭にあっては、hl、hnとつづる。無声子音が続く語尾にあるl、n(vatn,hasl)、無声子音間にある場合(vatns)は無声。
オリジナルの古代北欧の小説でも書こうとするじゃないですか。その時、リから始まる人名を創作したとするじゃないですか。その時、つづりをhlやhrから始めて創作する。と、99カッチョイ上がります。

3)lは主にフランス語やドイツ語のようなl。d,n,l,rが次に続く場合、アクセントのない母音が続く場合は発音する。それ以外の場所(無声を除く)は後部共鳴。

4)ng,nk(まれ)は英語の発音single,sinkとような発音。

5)f。語頭、無声子音が続く場合は無声。他の場所では有声(英語のv)になる。nが続く有声fは鼻音化する。
なのでfáfnirを間違ってもファーフニルとは発音しないように。65カッチョワルです。

6)12世紀のvは有声両唇摩擦音であった。13世紀の間にvは英語のvのような唇歯音で、語中、語尾のfと同じ音。hvは無声vだったが、14世紀にはいくつかの方言でhvはkvになった。

7)pは英語と同じようなもの。例外としてsかtが続くと、有声両唇摩擦音になり、無声fと同じになる。lopt,keypta。

8)rは強勢点震音。語尾rは音節には含まれない(全体で単音節)。無声子音に続く場合はrは無声になる(drykkr)。無声rで始まる場合、hrとつづる。

9)Rはサガが書かれた時代以前だけに存在する。後にはrと同じ。これはゲルマン語zから由来し、サガ以前のその発音は再現が困難である。恐らくzからrの強いzになったのであろうとされている。

10)sは無声。

11)最も古いアイスランド語の写本のþは無声と有声のどちらにも用いられた。1225年ごろからðが導入された。徐々にþは語頭だけで、それ以外はðが使われるようになる。þは無声音だけを表し、一方ðは有声(例外、無声子音が続く場合。稀、tになる)。

12)zはtsの音。

13)jは英語のyoungのyのような音。

14)hは通常は帯気音。jの前にある場合は英語のhueのような前部帯気音になる。(hjarta)。hl,hn,hrは無声l,n,r。hvのhは個々の音を発音する。

15)gはいくつかの異なった音を表す。
  1)有声軟口蓋破裂音。
  2)sかtの前にあるngもしくはggはk(無声)。(eggsはekksと発音する)
  3)語中(sかtが続く場合は例外)と語尾は有声軟口蓋摩擦音。
  4)ngは口蓋音。3)の有声軟口蓋摩擦音がサガの時代前にはiとjの中間音に口蓋化した。
  5)1)の語頭の軟口蓋破裂音は前部母音かjが続く場合、13世紀後期には口蓋音化へと発達。

16)kは英語のcのような無声軟口蓋破裂音。語中のiとjの前はサガが書かれる時代の前は口蓋音になった。前部母音jの前は主には13世紀後期には口蓋音化の発達をした。


あくまでも素人が急ごしらえで作ったものですので、ご使用の場合は各人の責任において覚悟して用いてください。こてんぱんにされてもお助けはできません。(こればっか)

間違いに気付いてこっそりと直しているのはいつもどおりですので、ご了承くださいませ。

これであなたも1000カッチョイです!!(って、計算合わんがな)

注・まじでこのコーナーはあそび半分(いちびり半分)にやっていますので、そのつもりでお付き合いくださいませ。(息抜きのコーナーということで理解してもらえれば幸いです)


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