注:かなり昔に作ったもので、かなりいい加減に作っているので、固有名詞などかなりいい加減なカタカナ表記になっているのでご注意ください・・・。固有名詞は一応は古アイスランド語のテキストから拾い出しはしていますが、カタカナ表記は・・・。信じないように・・・。
ハールヴダンが1才の時に父王グズレズが殺害され、王母アーサはすぐに郷里父王のアグジル王国に行き身を置いた。ハールヴダンはそこですくすくと育った。彼の髪は黒かったので「黒い」ハールヴダンと呼ばれた。そして19才の時にアグジル王国を引き継いだ。
その秋に彼はガンダールヴ王と幾たびか戦を行ったが決定的な勝敗が着かず、話し合いに持ち込まれた。そしてハールヴダンは父王グズレズが統治していた全ヴィングルメルクを手に入れた。この後に彼はラウマリーキに向かいそこを制覇する。するとヘイズメルクに王座を構えるエイステイン王の息子のシグトリュッグ王がラウマリーキをすでに手に入れていたからさあ大変。シグトリュッグ王とハールヴダン王が戦で決着つけることになり、シグトリュッグ王の戦死でそれは終わった。こうしてハールヴダンは全ラウマリーキを支配下にしたのであった。シグトリュッグ王の弟のエイステインが未熟ながらヘイズメルク王になり、ハールヴダン王が不在時にラウマリーキを荒らしまくっていた。
「黒い」ハールヴダンはそれを知りエイステイン王を懲らしめに行った。ハールヴダンが勝利を収めてエイステインはヘイズメルク、ダルのグズブランドの地まで逃げ込んだ。その冬に徴兵を行ってハールヴダンに島で戦いを挑んだが、エイステイン王が負けて尻尾を巻いて逃げた後に友人をハールヴダンに遣わして折り合いを付けて貰ったのである。そしてハールヴダンは他にもいくつかの領土を収めて今や大王になった。
「黒い」ハールヴダンはソグン王「金髪髭の」ハラルドの娘のラグンヒルドを妻にした。その子供は祖父の名前を取ってハラルドと付けられた。彼は祖父王のもとで育ち、祖父王が亡くなった時に王国を引き継いだ。その冬にラグンヒルド、続く春に息子のハラルド王も息を引き取った。するとハールヴダンはこれ幸いに息子の王国を手に入れて丸儲けをしたのである。そしてここまで征服すると彼は次ぎにオプランドに目を向けたのであった。
その秋にハールヴダンがヴィングルメルクに宴巡行に出かけている時、敵が付近まで来ていることを知り臨戦態勢を取った。布陣を敷くとそこにはガンダールヴ王の息子のヒーシングとヘルシングが剣を交えるべく参上したのであった。激戦であった。ハールヴダンは兵の数で劣っていたので森に逃げた。そして兵を立て直してガンダールヴ王の息子達と再び戦を行い、2兄弟は倒したものの、ハキを取り逃がしたのであった。
デンマークに伝説的でそりゃもう立派な家系がある。ラグナル・ローズブロークの血筋である。12才の若さでベルセルクのヒルズブランドとその家来の11名を倒したそりゃもう立派で、その息子のかの有名な「蛇眼の」シグルズ王はリンゲリーキを統治していた。彼にはラグンヒルドとグソルムという子供がいた。
そして彼がいつものように狩りを楽しむために1人でぱっかぱっかと馬で荒野を抜けて狂暴な獣を狩っていた。するとそこに卑怯にもベルセルクのハキが30人の家来を連れて彼に襲撃をかけた。しかしそこは英雄の彼の事、ハキの家来20名を殺害し、ハキの片腕を奪った。しかし彼もそこで命を落としたのであった。ハキは酷く負傷したものの、シグルズの館に行きラグンヒルドとグソルムを連れ去った。そしてお宝もついでに頂戴していったのであった。彼は自らの館に戻りラグンヒルドとの婚礼の宴の準備を命じた。しかし酷い傷を負った彼の傷が癒えるまでそれはお預けとなり、ハキは半年も寝込んでいた。
ユールの頃にハールヴダン王がこれを知り、「狼の」ハーレクにシグルドの子供達の救出を命じた。ハーレクはたくさんの家来を引き連れて兄弟とその財宝を分捕り館に火を付けて逃げ去った。ハキは後を追ったが凍り付いた湖の上を彼女たちを乗せた立派なソリが行くのを目にすると剣を突き立てて自らの体を深々と沈め自らの命を断ったのであった。
ハールヴダンは救い出した彼女と挙式を上げた。彼女の父も立派だが、母はあのデンマークの最初の統治者と言っても過言でもないハラルド青歯王の父のゴルムの妻、イェリングのそりゃもう立派で世界文化遺産に指定された石碑にも言及されるチューリの姉妹である。
ラグンヒルドは頭もよく、夢見であった。ある夢を見た。彼女が自らの庭に立ち、彼女のガウンから茨がにょきにょき出てきたので彼女はそれを手で握った。するとその茨は見る見るうちに大木にまで育ち、一方は根となり大地に深々と根付き、片方は天空高く聳え、なんとかやっと見上げることができるほど大きく育ったのであった。この大木の幹は太く、下部は地のように赤く、幹までは若草色で、枝より上は純白であった。大木に大きな枝がたくさん出ており、上に伸びたり下に伸びたりと様々であった。枝はまさに全ノルウェイを覆い尽くすほどに広がっていったのであった。
一方、夫のハールヴダン王は夢を全然見なかった。
「夢を見たいなぁ。」と彼は「賢者の」ソルレイヴに相談した。
「閣下、豚小屋でお休みなさい。さすれば夢が見れますよ。」と彼は答えた。
不思議なことにハールヴダンが豚小屋で休みを取ると夢をいつも見たのであった。
彼のまた不思議な夢を見た。自らの髪の房がどんどん伸びだし、頭を覆い尽くしたかと思うと地面にまでそれはひょきにょきと伸びていった。ある房はふくらはぎあたりまで。ある房は膝まで。ある房は太股まで。ある者は腰まで。首までしか伸びないものもあれば、王冠にからみついてちょこっと首を出す程度の房もあった。髪の房は様々に色とりどりに飾られていた。しかしその髪の毛の中に一房抽んでるものがあった。美しく明るくすばらしい髪の房であった。もちろんこの夢は彼の子孫の反映を示すものである。そしてその抽んでた髪の房、美しく明るい房が示すものは何を隠そうノルウェイを最初に統一した美髪の持ち主のハラルド、ではなく、ノルウェイで歴史上3本の指に入る超美男子オーラヴ・トリュグヴァッソン、でもなく、そう、容姿もふつーで、中肉中背よりちょっと太いスウェーデン王から「おデブ」と呼ばれた聖オーラヴである。そもそもヘイムスクリングラはクニトリンガサガ同様、聖人に重を置いたものである。クニトリンガサガも「クヌート王一族のサガ」と称しているのを一瞬、「あの北海大王クヌートのサガ」と思ってしまうが、なんてことはない聖クヌートを示すのである。「え、誰?」と突っ込まないように。あのオーディンが身を置いたオーデンセにあるクヌート大聖堂に奉られているのである。祭壇の下に彼の亡骸と彼の兄弟の亡骸が置いてある。町には彼の像が立ち、彼の偉業はクニトリンガサガで述べられている。そのサガはまた別の機会に紹介するとしよう・・・多分。ちなみにヘイムスクリングラとクニトリンガサガは非常に似ている。ヘイムスクリングラはスノリの作で、クニトリンガサガは一応は作者不明と言われているものの、そのおいのオーラヴの作とされている。ということで甥っ子はおじの影響と多大に受けている。全ての環はスノリに続く。
さて話が大幅にずれたので修正をすると、何の話やったか・・・、っと、ハールヴダンも偉業をなしたのである。彼は賢く正義の人であった。彼は法を制定し、法を厳守させたのであった。出生と位別に罰則を設けた「サクタル」(罰則の法典)を制定した。ラグンヒルド妃は1人の息子を生んだ。彼はハラルドと名付けられて大きく成長し、武勇に優れ頭が良かった。母は彼をとても愛したが、父はちっとも愛情をかけなかった。
ハールヴダン王がハザランドでユール祭に興じていた時、不思議な事が起こった。食卓からあらゆるご馳走が消え失せたのであった。ハールヴダン王はなんとか怒り抑えていたが、家来達は家路に着いたのであった。王がこれを行ったのを誰か突き止めよと命じ、フィン人の妖術使いが捕らえられて王の前に引き出された。王は彼に拷問したが彼は吐かず、ハラルドに救いを求めた。ハラルドは父王に慈悲を乞うたが、拷問は続けられた。そして隙を見てハラルドはフィン人を救い出してある首領の館へ向かった。そして春まで彼らはそこで身を置いていた。ある日、首領がハラルドに言った。
「父王は冬の事件に激高していた。しかしその心配はない。貴殿には吉報だ。ハールヴダン王は亡くなった。国に戻り、王国を引き継ぐのだ。」
ハールヴダン黒王の死はこんな風である。ハザランドでの宴巡行を終え、ソリを走らせていた。王はレンド湖は凍り付き、その上をソリで行くことにした。それは春先の出来事で、氷は解け始めていたのであった。そしてその辺りでは冬の間に牛の焼き印作業が行われており、大量の糞が氷上に投げ捨てられていた。糞が発酵して熱を持ち、それが氷を思いの外溶かしていたのであった。そして王はそのあたりをソリで進んでいた所、氷が裂け、ソリもろともに王は湖中に没したのであった。その時、彼は40冬歳であった。
ハールヴダン王の時代、とても季節は良く豊作であったので人々は彼を敬愛した。民衆は彼の死を知った。リンガリーキ、ラウマリーキ、ヴェストフォルド、ヘイズメルクの4つの区から有力者が王の亡骸を埋葬するためにやって来た。彼らは皆、自らの区に王を埋葬することを望んだのである。それは彼の亡骸があると豊作が見込まれると考えたからであった。そしてけんけんがくがく行われた後、ハールヴダン黒王の亡骸を4つに分けてそれぞれの区の塚に埋葬することが同意されたのである。そしてそれぞれの塚は「ハールヴダンの塚」と呼ばれている。